産経ですら異議申し立て
2016年 06月 21日
5日午前、川崎市中原区の中原平和公園前は異様な雰囲気に包まれた。在日コリアン排斥などを訴えるデモ隊約20人を、「差別扇動デモにNO」「差別主義者は恥を知れ」などのプラカードを掲げた数百人のデモ反対派が取り囲み、「デモを中止しろ」「帰れ」と怒声を浴びせた。最後はデモ隊側が引き下がったが、出動した警官隊も事態の収拾に手間取る混乱ぶりだった。騒動の背景にあるのは、ヘイトスピーチ解消法の施行だ。
川崎市は従来、同時刻の予定が入っていないかどうかなどで機械的に公園の使用を認めていた。だが、今回は同法の施行を目前に控え、「不当な差別的言動から市民の安全と尊厳を守る」(福田紀彦市長)と、デモ主催団体の「差別的言動のおそれ」を理由に使用を認めなかった。
‥略‥
そもそも、ヘイトスピーチ解消法は不当な差別的言動の解消に向け、国や自治体に教育の充実や啓発活動を求めただけの「理念法」だ。前文には「人権教育と人権啓発などを通じて、国民に周知を図り、その理解と協力を得つつ、不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを推進すべく、この法律を制定する」とあり、定義の難しいヘイトスピーチそのものを禁じた法律でないことは明らかだ。にもかかわらず、罰則規定もないこの法律を根拠に、表現の自由の「事前規制」が行われるとすれば、「曲解」のそしりを免れない。
同法の制定を主導した自民党内には、「憲法問題に発展しかねない」と表現の自由の侵害を懸念する声もあった。ヘイトスピーチへの対応には野党側の強い求めもあったとはいえ、法制定の拙速さは否めない》=産経ニュース 16.6.21 01:00更新=。
産経の「政界徒然草」なるコラムだが、この見出しが「やはり危惧した通り…ヘイトスピーチ解消法による表現の自由の規制が始まった 自民党の責任は重いぞ!」と、産経らしからぬ表現の自由を守る側に立った書き方だ。
常日頃から自民党の横暴を黙認し、国民の権利制限を当たり前のように主張している感のある産経ですら「表現の自由」の事前規制と書くほど問題のある法律。
この国の司法・治安機関は制定された法律の趣旨を平気で踏みつける。
かつて、「凶器準備集合罪」が作られたのは、ヤクザや暴走族が抗争のために木刀などを持って集まるのを取り締まる法律だと説明されたと思う。
ところが一旦施行されると、市民や労働組合が持つプラカード、旗竿も「凶器」だとして取り上げる動きを見せた。
「差別があった」ではなく「するかもしれない」を想定してデモや集会を規制するのは合法ではない。
「差別を辞めよう」「差別はダメだ」と教育・宣伝するのが趣旨らしいが、役人は責任を問われるのを恐れて、もしくは圧力に負けて自制する。
「予防拘束・拘禁の時代へ」で、近未来を予測したが産経もそれを危惧したようだ。
とはいえ、産経コラムの主張は思想・表現への規制ではなく、ヘイトへの規制に反対するように読めるのが産経らしいが。
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